第72話 そして未来へ 何事も無かったかのように、彼らは日常に戻ってい。ほんの少しの、何かを変えて。 朱華と白羽の通う学校に、黒花も入る事を決めたと言う。 蒼斗とも連絡を交換して、後日会う約束をしている。 そしてそれは、そんなある日のこと。 「やっほーシュカぁー! 遊びに来ちゃった!!」 突如窓が開いて飛び込んできた声に、朱華は目を丸くした。 反射的に視線を向けた先には、見覚えのある姿。 「マ……マゼンタさんっ!? こんな気楽に遊びに来て良いモンなんですか!?」 「あら、だってシュカが言ったんじゃないの、また会いに来いって」 と、マゼンタはどこ吹く風。 その気楽さは、朱華の方が慌てる程だ。 「い、言いましたけど! でも、こんなに早く来るなんて反則です!! 別れたの、数日前ですよ!?」 「そうだったかしら? あたしには、もう何年も前だと思うんだけど……。 どうやら天界と此処じゃ、時間の流れが違うみたいねえ」 「絶対嘘ついてる顔ですよねそれはっ!」 そんな遣り取りさえも内心嬉しいと思った事は、朱華だけの秘密。 こうして再び顔を合わせる事になった彼女達の物語は、また形を変えて続いていくのだろう。 そしてどんな未来を紡いでいくのかは、また別の話。 |